冷え性で悩まれている方は非常に多いと思います。しかし、西洋医学では冷えは病気としては扱わず、薬などもないのが現状です。一方で東洋医学では冷えは「証」を知るための重要な手掛かりであり、治療対象となっています。実際に、末梢神経障害で四肢にしびれがある人、頭痛持ちの方、過敏性腸症候群の方、パーキンソン病の方などでも、冷えで症状が悪化することが多い思います。
そのため、冷えに対してもできる限りの治療を行っていくことが重要と思います。
冷えの代表的な薬としては下記のようなものがありますが、実際には人それぞれの「証」がもっとも大事であり、その「証」に基づいて漢方薬を考えることになります。
- 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(しもやけの特効薬。胃腸が弱い方によりよく効く。スーパーの冷凍食品売り場にも行けないほど冷えが強い。)
- 呉茱萸湯(冷えにより増強する片頭痛。)
- 当帰芍薬散(女性の漢方として有名。冷えと足のむくみがある方。月経痛や更年期障害にもよく使う。)
- 桂枝茯苓丸(女性の漢方として有名。下肢は冷えるが、顔面はのぼせがある。)
- 大建中湯(手術後のイレウスの予防薬として有名。腹部が冷えて、ゴロゴロとなり、痛む方。下痢気味でも便秘気味でも使える。)
- 人参湯(腹部は冷え、胃腸の調子が悪く、下痢がある。)
- 真武湯(腹部が冷え、めまいを感じる)
- 疎経活血湯(寒さにより増強する腰痛や膝の痛みに。)
- 牛車腎気丸・八味地黄丸(背中が冷え、腰痛があり、尿の出が悪い。)
- 柴胡桂枝乾姜湯(四肢は冷えるが、顔面はのぼせる。動悸・不眠・頭痛などに思い悩んでいる。)