アルツハイマー型認知症の新しい薬、レケンビ(レカネマブ)の効果に関して
レカネマブの長期的な効果と安全性について(Clarity AD オープンラベル延長試験の結果)という新しい文献が出ています。
論文の概要
この論文は、アルツハイマー病の初期段階にある患者さんを対象としたレカネマブという薬の長期的な効果と安全性を、最長3年間(36ヶ月)にわたって調べた研究結果です。
主な結果のポイント
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認知機能と日常生活の維持効果が継続
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レカネマブを継続して使用した患者さんは、認知機能や日常生活の動作の低下が、薬を使い始めなかった患者さんと比べて、36ヶ月の時点でも引き続きゆっくりになりました。
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治療効果は時間とともに積み重なっていくことが示唆されており、治療の継続が重要であると考えられます。
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早期治療の重要性
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最初からレカネマブの治療を始めたグループ(早期開始群)と、一旦偽薬(プラセボ)を使った後にレカネマブ治療を始めたグループ(遅延開始群)を比較したところ、早期開始群の方が、遅延開始群よりも良い状態を維持していました。
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これは、アルツハイマー病の進行を抑えるためには、できるだけ早い段階でレカネマブの治療を始めることが重要であることを示しています。
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安全性(副作用)について
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主な副作用であるアミロイド関連画像異常の発生率は、治療開始後6ヶ月以降は低くなりました。
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長期的な使用においても、新たな重大な安全性の問題は見つかりませんでした。また、ARIAが発生したことが、長期的な病気の進行を加速させることには関連していませんでした。
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結論
この研究結果は、レカネマブが初期のアルツハイマー病患者に対して、長期にわたって認知機能と日常生活の維持という恩恵をもたらし続けること、そして早期に治療を開始することの重要性を強く裏付けるものと言えます。
Alzheimers Dement. 2025 Dec;21(12):e70905. doi: 10.1002/alz.70905.
Long-term safety and efficacy of lecanemab in early Alzheimer's disease: Results from the clarity AD open-label extension study



